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便利な時代に生きること

小さな頃はマンションで暮らしていた。

階段の踊り場に立つと、

マンションの敷地内にあるコートで母が近所のおばさん(僕からすると友達のお母さん)達とテニスに興じているのが見える。

駐輪場に、大きな籠を乗せた一台の自転車がやって来る。

僕はあの籠の中に何が入っているか知っている。

自転車から下りた女の人は一階の部屋から順にピンポンを鳴らしていく。

急いで部屋に帰り、彼女を待つ。ピンポンが鳴る。

でも僕はソファに座ったまま、彼女が行ってしまうのを待つ。

「スーパーで買えばもっと安いのよ」と母は言うだろう。

でも、と僕は思う。

大人になって、妻と子供を持った僕は保険に入ろうと決意した。

友人が保険会社の女性を紹介してくれた。

「ネットで探せばもっと良い条件の保険があるぜ」と別の友人は言う。

でも、と僕は思うのだ。

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人間は何万年も、あした生きるために今日を生きてきた。

一手塚治虫『火の鳥』

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