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元旦

数年前に祖父が亡くなってからは本家での集まりがなくなった。

元日に親戚同士が顔を合わせ、大人たちは酒を呑み、子どもたちはお年玉をもらい、トランプに興じる。

古い一軒家なので寝床は冷えるのだが、朝起きると居間には石油ストーブが焚かれていて、身体がジワジワと暖まっていくのがわかる。

駅伝の中継をぼんやり聴いていると、祖父が七輪で焼いた餅を食べさせてくれる。

僕の名前を呼ぶ祖父の甘い嗄れ声はまだ耳の奥に残っている。

代わりに父の家で家族だけの年始の挨拶と食事会をするようになった。

おせち料理をつまみながら近況を報告し合ったり、時には昔話に花を咲かせることになる。

テレビっ子を自認する兄夫妻に、大晦日はやはり家で紅白を観ていたのかと聞くと

「昨日は”ふたり紅白(夫婦でカラオケ)”をしていたから観ていないんだよ」と兄が笑った。

なんだか温かい気持ちで家路についた。

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