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床屋と三色ポールの生きる道

小さい頃、髪を切るときはいつも父と一緒だった。

決まって日曜日の夕方だったと思う。

父の自転車の後ろに乗せられて床屋に向かう。

僕は無言のまま店に入り、ピチッとした髪型のおじさん(いつも同じおじさんだった)にワシワシと髪を切られる。

髪型をこちらから指定した記憶はないが、父が何かしら事前に注文していたか、そもそも小さい男の子にはこの髪型というデフォルト設定みたいなものがあったのだろう。

洗髪器に頭を突っ込まれた後は、顔にモクモクした生温かいクリームを塗られ、髭を剃る工程に入る。ヒゲなんて、生えてたっけな?

全てが終わると、父の髪を切っていた怖い顔のおじさん(この人もいつも同じだった)が、坊や、と言って”どんぐりガム”を1つ渡してくれる。父はニカッと笑う。

街中で三色ポールを見掛けると、記憶の中の甘ったるい匂いとともに、帰りの自転車で見た父の背中を思い出す。

それから無性にどんぐりガムが食べたくなるのだ。

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