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梅雨冷えですね、と彼は言った

昔から気圧の変化が苦手で、今日みたいに波打つような風が吹く日には決まって頭の奥が痛む。

そういう時は早々に歩いて帰るのを諦め、タクシーに乗ってしまうことにしている。

今まで、地元の同じ駅の同じ乗り場から同じような時間帯に、それなりの数のタクシーに乗ったけれど、不思議なことに、一度乗せてもらったドライバーさんに再び巡り合うという経験は今まで一度もない。

それでも、たった5分やそこらの短い時間だが、心の通った会話ができることもある。

今日は外出中に雨で濡れたせいか、タクシープールまで辿り着いたときには身体はすっかり冷えてしまっていて、タクシーに乗り込むと、行く先を伝えたきり話す気力を失ってしまった。

運転手さんは、はじめにバックミラーで僕を一暼しただけで、話し掛けてこない。目的地の近くまで車を走らせたところで「梅雨冷え、ですね」とポツリと言った。

「そうですね」とだけ返事をして支払を済ませ、礼を言って車を降りた。

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ザルツブルクの記憶

夏が近付いてくると、学生時代に友人とヨーロッパを旅した時のことを思い出す。

ザルツブルクを訪れたときのこと。

『君たち、日本の学生?』と声を掛けてきた初老の男性は、日本の大学の先生だった。

互いに自己紹介をすると、僕の高校の恩師(ドイツ語の先生)と友人だということがわかり、不思議な縁のおかげで話が弾んだ。

彼も幾分顔を上気させながら、これから音楽祭なんだが、君たちもかと僕らに尋ねた。

音楽祭?

僕たちはベルリンの友人宅を訪れるついでにバックパッカーをしている途中で、そんな世界的な音楽祭が開かれていることも知らずに街をうろついていたのだ。

たとえ知っていたとしても、金銭面を考えると何もできずに通り過ぎることしかできなかったかもしれないが、その日以来、いつかその祝祭に参加したいと思い続けている。

先日、松本を訪れる機会があったのだが、翌週からサイトウ・キネン・オーケストラによるセイジ・オザワ 松本フェスティバルの会期だという。。

三つ子の魂百まで、じゃないですが、変わらないものは変わらないようです。