Idea

Sentimental #2. ゆず

運転手がひとり乗っているだけの”がらん”としたバスが昔から好きで、遅い時間に街を歩いていると、ついついバスを探してしまう。

長いことその理由を考えていて、最近になって、小さな頃に僕たちをマイクロバスで迎えに来てくれた先生の姿を重ねているのだということに気付いた。

仕事で忙しい父は休日も家におらず、僕は毎日通うサッカー教室の先生のことを半分父親のように思っていた。

練習や試合のあとの車内では先生が備え付けのマイクを持って冗談を言い、ときには僕たちを褒め、叱ってくれた。

ある日の帰りの車内で、突然別れを切り出された。

先生はモゴモゴ言っていて最初はよくわからなかったが、僕たちを置いてどこか遠くの小さな島へ引越していくのだということはわかった。

その後のことはうまく思い出せない。

先生との練習の最後の日、いつもの公園でお迎えのバスを待つ間、このままバスが来なければいいのにと思った。

でも、そんなことを願ってもお別れのバスはもうすぐやって来るし、そのバスに最初に乗り込んでいつも通り先生と元気に挨拶を交わすのは、僕の役目なのだ。

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