
-対談をまとめた『日本人と日本文化』と題する一冊には司馬が前書きを寄せ、対談以前の彼と私の共通項は、唯一、先の大戦での軍務経験であり、二人は「戦友」だった、と書いた。
「戦友」とはまた突拍子もない表現である。そもそも、私たちは敵味方に別れていたのだし、お互いを見かけたことさえなかったではないか。
しかし、司馬は正しかった。
私たちはあの悲惨な戦争の体験を分かち合っており、その体験こそが司馬をも私をも変えたのだから-
ドナルド・キーン / 思い出の作家たち 『司馬遼太郎』
-対談をまとめた『日本人と日本文化』と題する一冊には司馬が前書きを寄せ、対談以前の彼と私の共通項は、唯一、先の大戦での軍務経験であり、二人は「戦友」だった、と書いた。
「戦友」とはまた突拍子もない表現である。そもそも、私たちは敵味方に別れていたのだし、お互いを見かけたことさえなかったではないか。
しかし、司馬は正しかった。
私たちはあの悲惨な戦争の体験を分かち合っており、その体験こそが司馬をも私をも変えたのだから-
ドナルド・キーン / 思い出の作家たち 『司馬遼太郎』
おやすみ やさしい顔した娘たち
おやすみ やはらかな黒い髪を編んで
おまへらの枕もとに胡桃色にともされた燭台のまはりには
快活な何かが宿ってゐる (世界中はさらさらと粉の雪)
私はいつまでもうたつてゐてあげよう
私はくらい窓の外に さうして窓のうちに
それから眠りのうちに おまへらの夢のおくに-
立原 道造 『眠りの誘ひ』