
生まれて一番最初の記憶は、幼なじみの死と結びついている。
記憶のなかの最初の僕は幼なじみとのお別れの会で「お母さん泣かないで」と言っている。
それから月日が経ち、5歳の誕生月のある日、仲良しの同級生と遊んでいるときに、何の前触れもなく涙が出て「いつか終わりが来ること」が怖くなった。
そのとき遊んでいた友だちとはその場で別れた。もう誰とも友だちになんてなりたくないと思った。
父と母に、僕たちはなぜ死ななくてはならないのかと聞いてみたけれど、2人とも首を振るばかりで何も答えてはくれなかった。
年齢を重ねるごとに死への恐怖は薄らいできた。でもまだ答えは見つかっていない。