
-何が真実であるか、いったい人生ってものはどういうふうにできているか。
そういうことはめいめい自分で考え出すほかはないんだ。本から学ぶことはできない。
これが僕の意見だ。聖書は古い。昔の人は、今日の人がよく知っていることをいろいろとまだ知らなかったのだ。
だが、だからこそ聖書には美しいこと、りっぱなことがたくさん書いてある。ほんとのことだってじつにたくさんある。
ところどころはまるで美しい絵本のように思えたよ。ルツという娘が畑を行き、落ち穂を集めるところなんか、すてきだよ。すばらしい夏が感じられる-
ヘルマン・ヘッセ / クヌルプ 『早春』