Lectio

ここまで書いたら大船に着いた。僕は降りなければならぬ。これもまた車中の楽しみである。

-女は両手のなかにハンカチをしっかり握っていて、そのハンカチがまたしろじろと気高い程に新しい。

僕は何となく芥川龍之介の『手巾』を思い出した。

女は自分の立場の釈明や、周囲の冷眼に対する反発をこの純白のハンカチに託していたのだろうか-

小津安二郎 『話』

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