
- その強い、自分をまげない処 (ところ) が特に自分を感心させた。
無者がどこまでも自己を尊敬して立って行く態度に殊 (こと) に引かれそれを羨ましく思った。そして自分ももっと強くなりたいと思った。
柳を通じて武者 〔武者小路実篤〕ともじき知り合になった。始めは画を見に行ったものだが、それより話をするのが何ともいえぬ楽しみだった。
これまで、そういう友達を持つ機会のあまりなかった僕にとってこの事は本当に、第二の誕生といっていい位の力強い事だった -
岸田劉生 『思い出及今度の展覧会に際して』