
煌々とした明かりの下よりも、さりげなく、優しい明るさの方が本の世界に浸れる気がする。
部屋のなかの陰翳が物語や自分の頭のなかの曖昧さに似ているのかもしれない。
古い時代の本を読むことに長いこと没頭して、いつのまにか喉が渇いていることに気付く。
水をひと口ふくみ、ふと目をあげるとそこにはボンヤリとした明かりが点いている。安心して元の世界に戻る。
煌々とした明かりの下よりも、さりげなく、優しい明るさの方が本の世界に浸れる気がする。
部屋のなかの陰翳が物語や自分の頭のなかの曖昧さに似ているのかもしれない。
古い時代の本を読むことに長いこと没頭して、いつのまにか喉が渇いていることに気付く。
水をひと口ふくみ、ふと目をあげるとそこにはボンヤリとした明かりが点いている。安心して元の世界に戻る。
イタリアビールを飲みながらコロッケをつつく。
石窯を眺めると、自分たちのためのものと思われるピッツァが焼かれている。
コロナ禍で長いことテイクアウトでしか味わえなかったあの味。
冷めてもおいしいものは焼き立てもとびきりおいしい。
普段コーヒーばかり飲んでいるのでたまには紅茶でも、と思ってカフェに立ち寄ると
「レモンケーキ」という文字が目に入り、試しに注文してみる。
ちょっぴり疲れている時でもあったので甘味が欲しかったところへレモンの爽やかな酸味も加わって、ティータイムに理想的な軽食。
ケーキと柑橘というのは何故こんなに合うのだろう。
- 僕も歳をとるのは初めてのことなので、うまくできるかどうか、実を言うと自信はありません。
「幕引き」というのも、自分で決められることではないような気もします。
でもできるところまでは、自分のペースを確実に保ち続けたい、それが僕の考えていることのすべてです。-
村上春樹 / 雑文集