IdeaLectio

地球のウラ側で

小さな頃から”地球の裏側”とか”地球の反対側”とかという表現が好きで、ブラジルとかアルゼンチンとかチリとか、南米諸国には勝手な憧れがある。

そこには僕たちのクニとは全く違う生態系がひろがっていて、色とりどりのイキモノがそれぞれの暮らしをしていて、人々は陽気でおまけに良質のコーヒー豆なんかも獲れて…とか。

雑誌の挿し絵をパラパラしながらまたボーっとしてたら息子が興奮気味に抱きついてくる。

ヤドクガエルみたいな鮮やかなブルーは彼のお気に入りの色なのだ。

Idea

アメリカ

僕が初めて”アメリカ”という言葉を聞いたのは合衆国としてのそれではなくて、大陸の名前として、だったと思う。

おかげで今でもあの国には「新大陸」だとか「新世界」だとかっていうイメージを重ねている。

教科書で学んだアメリカという国は、(時には過剰なまでに) 正義感に溢れ、若くて力強い国という印象だったが、近頃は病み、疲れ、国民の関心は自国の内側に向かいつつある。

米国外交の変質を嘆く向きもあるけれど、一人の政治家の登場があの国を変えたわけじゃない。

「指導者は時代がつくる」と僕は思っていて、歴史を振り返ってみても常にそうだったし、これからもそうだと思う。

ケネディの時代には彼を求める国民がいたし、トランプの時代には彼を求める民衆がいる、そういうことなんだろう。

トランプ氏がTwitterを介して世界を動かそうとしているのは、良くも悪くも”民意が世界を動かす”ということを本能的に理解しているからなんじゃないかな。

Idea

10 : 00 PM

ある人は昔の仲間と夜の街で騒いでいる。

別のある人はまだオフィスでパソコンに向かって何かを打ち込んでいる。

また別のある人は子どもの寝かしつけに疲れてそのままベッドでぼんやりとしている。

みんな同じ時間を生きているのだ。

IdeaLectio

ニューヨーク

学生時代の終わりに、ひとりでニューヨークを訪れた。

お金もろくに持っていなかったから、ユースのドミトリーに荷物を置いて毎日美術館に通い、脚が動かなくなったら外に出てホットドッグで簡単に食事を済ませ、また街を歩いた。

居抜きで入った華やかなショップが営業している古い建物やロングランのミュージカルを覗いたり、道端のぼろぼろのゴミ箱や映画で観たことのある摩天楼を眺めたりしながら、この世界はなんて広くて深いんだろうと思った。

雨に濡れたアスファルトと、傘を差してバスを待つ親子を見ながら、生まれて初めて寂しいと思った。

自分にもこういう感情があるんだということに初めて気付いた。

気に入っていた大きめのフードパーカーは同部屋の若者に譲った。

もうそろそろ外の世界に出てもいい頃なんだろうなと思った。

IdeaSpiel

パパの風船はどこへ行ったの

息子がもらってきた風船を手に取って、少しの間、懐かしい気分に浸った。

見るからにヘリウムガスがしっかりと注入された風船で、手を離した瞬間にオトナの手も届かないところへ瞬時に飛んでいってしまいそうだった。

この頃は、デパートやアウトレットでもらう風船はユラユラと漂う可愛らしいキャラクターものが主流になったような気がする。

風船にまつわるお決まりの失敗談なども息子に披露しながら、ふたりで糸の先にいろんな物体を括りつけて遊んだ。

「それで、パパの風船はどこへ行ったの?」

どこへ行ってしまったんだろう。