
- どれ、帰る時刻だ。既に消え果てた道を辿って、私は村へ戻る。
村の名はその村だけが知っている。
つつましい百姓たちが、そこに住んでいて、誰一人、彼らを訪れて来ることはない-この私よりほかには。-
ルナール 『猟期終る』
- どれ、帰る時刻だ。既に消え果てた道を辿って、私は村へ戻る。
村の名はその村だけが知っている。
つつましい百姓たちが、そこに住んでいて、誰一人、彼らを訪れて来ることはない-この私よりほかには。-
ルナール 『猟期終る』
-太陽は大儀そうに冠を脱ぐと、明日まで、その後光を彼らの毛綿の中に突き刺しておく-
ジュール・ルナール / 博物誌 『羊』
-それをこうして空っぽにしとく。
万一、僕がその気になったら、たとえば茶色の鶫 (つぐみ) とか、ぴょいぴょい跳び回るおめかし屋の鷽 (うそ) とか、そのほかフランス中にいろいろいる鳥のどれかが、奴隷の境遇に落ち込んでしまうんだ。
ところが、僕のお蔭で、そのうちの少なくとも一羽だけは自由の身でいられるんだ-
ジュール・ルナール『鳥のいない鳥籠』
Jules Renard “La Cage sans oiseaux”
台風の不安な夜が明けて、嘘のような快晴のなかをいつものように朝の散歩に出掛けた。
森からは鳥たちのぴちぴちという鳴き声が聞こえてきて、あぁ無事だったんだなと思って少し安心した。
彼らはあの強い強い風のなか、どこに身を寄せていたのだろう。