Lectio

きびしい変化の中で育つことが果物をうまくするのと同じように

- だいたい果物は盆地ものがうまいといわれる。朝夕と昼の温度差が大きいほど、果物は糖分を増すものらしい。

温度差が大きいのは、気候としては厳しいのだが、それによって、果物の甘さがつよくなるというのはおもしろい。

甘さをいのちとする果物の産地に内陸、盆地が多いのは偶然ではない。山形は山も多いが盆地も多い。天下に名だたる果物産地である。

きびしい変化の中で育つことが果物をうまくするのと同じように、人間も苦労すればするほど味が出る。昔風の人間はそんなことを考えるのである。-

外山滋比古 『果物』