Lectio

そこには生まれたての子猫が二匹いて、いつも私の相手をしてくれていた。

- 私はモロッコのサハラ砂漠の「ほとり」にいて、小さなロッジで日を送っていた。

砂漠に入っては出てくるという以外なにもすることがなく、強い陽射しのある日中は、ガラーンとした食堂で時間をつぶしていた。

ロッジの若者は英語がしゃべれず、私はベルベル語がわからない。そこで、暇な時間はそこで飼われている猫たちと遊ぶことになる -

沢木耕太郎 『砂漠の猫たち」

Lectio

こんなこともできなくなる日が

-最後の日々の母が特に好んだのはみたらし団子だった。

私はいつも私の家と実家の間にある青山の紀ノ国屋か近所のおいしい和菓子屋さんかでそれを買った。

どちらの味も母のお気に入りになった。

何回目かに買っているとき、ふと「ああ、いつかお母さんが死んだら、私はみたらし団子を見るたびにお母さんを思い出すんだろうな」と思った。

そのとおりになってしまったが、覚悟しておいてよかった。

みたらし団子を食べるたびに、母にも分けてあげる気持ちになれる-

よしもとばなな 『おだんご』