Lectio

コノアタリ、故山ニ似タリ。

-なるほど二百年近くも相成り、しかもこの国の厚恩を受けてかように暮らしております上はなんの不足があるはずもございませぬが、ひとの心というものは不思議のものにて候。

故郷のことはうちわすれられず、折りにふれては夢のなかなどにも出 (いで) 、昼間、窯場にいてもふとふるさと床しきように想い出されて、

いまも帰国のこと許し給うほどならば、厚恩を忘れたるにはあらず候えども、帰国致したき心地に候-

司馬遼太郎 『故郷忘じがたく候』

Lectio

本は人の運命も変えます

-本屋さんでふと一冊の本が目にとまる、手を伸ばす。

僕の中のなにが、その本を手に取らせたのか、それとも、本が僕にむかって「読んでくれ」と訴えたのか。

出会いからして、本というものは運命的でしょう-

井上ひさし 『本の運命』