Lectio

半分のお月さまも黄色いお星さまも眠くなってきました

-白いお星さまも、青いお星さまも、夜になりました。

大人も、子供も、おばあちゃんも、おじいちゃんも、お父さんも、お母さんも、お兄さんも、お姉さんも、赤ちゃんも、

お人形も、いぬも、ねこも、うさぎも、りすも、たぬきも、きつねも、みんな、みんな眠っていました。

「くまちゃんも?ぞうさんも?ペンギンちゃんも?」と娘が訊くので、

「そうだよ、みんな、みんなだよ」と私は答える-

沢木耕太郎 『雪の手ざわり、死者の声』

僕は、彼が娘さんを寝かしつけるときにする変テコな”オハナシ”が好きで、何だか自分の子どもの頃を思い出して温かい気持ちになれるし、父としても参考になる。

Lectio

そいつらをやっつけてせいせいするような映画だけは、絶対に作っちゃいけない

-やっぱりみんな「人間嫌い」になっているんですね。

正しくは「人類嫌い」と言ったほうがいいかもしれませんが。

顔見知りの人間は好きなんです。

けれど、人類とか外国人と言ったとたんに、「いなきゃいいのに」という感じになる。

こんなにみんなが人間嫌いになってる時代はないんじゃないか-

養老孟司・宮崎駿 / 虫眼とアニ眼 『もののけ姫』の向こうに見えるもの

GastronomieLectio

湯の帰りに蕎麦を手繰らないと、よく眠れない

-私を可愛がってくれた曾祖母も、何かごちそうをしてくれるといえば、蕎麦やであった。

先ず、曾祖母は、天ぷらなどの種物 (たねもの)をとってくれ、自分はゆっくりと一合の酒をのみながら、

「おいしいかえ?」

などと、はなしかけてくる-

池波正太郎 / 散歩のとき何か食べたくなって 『藪二店』

GastronomieLectio

柚子だけは贅沢をさせてくれ

-東京の者には塩鱈はなつかしいものだ。

小松菜を入れた鱈の吸物へ柚子を二、三片浮かし、

熱いのをふうふういいながらすすりこむ-

池波正太郎 『柚子と湯豆腐など』

鱈 (たら) 独特のホクホクとした食感と旨味。柚子のあの濃縮された果実味と香り。

どちらも僕の好物なのに、どういうわけか、今まで組み合わせたことがなかった。

そろそろまた鱈鍋がやりたいと妻にねだってみようか。