Lectio

そこには生まれたての子猫が二匹いて、いつも私の相手をしてくれていた。

- 私はモロッコのサハラ砂漠の「ほとり」にいて、小さなロッジで日を送っていた。

砂漠に入っては出てくるという以外なにもすることがなく、強い陽射しのある日中は、ガラーンとした食堂で時間をつぶしていた。

ロッジの若者は英語がしゃべれず、私はベルベル語がわからない。そこで、暇な時間はそこで飼われている猫たちと遊ぶことになる -

沢木耕太郎 『砂漠の猫たち」

Lectio

半分のお月さまも黄色いお星さまも眠くなってきました

-白いお星さまも、青いお星さまも、夜になりました。

大人も、子供も、おばあちゃんも、おじいちゃんも、お父さんも、お母さんも、お兄さんも、お姉さんも、赤ちゃんも、

お人形も、いぬも、ねこも、うさぎも、りすも、たぬきも、きつねも、みんな、みんな眠っていました。

「くまちゃんも?ぞうさんも?ペンギンちゃんも?」と娘が訊くので、

「そうだよ、みんな、みんなだよ」と私は答える-

沢木耕太郎 『雪の手ざわり、死者の声』

僕は、彼が娘さんを寝かしつけるときにする変テコな”オハナシ”が好きで、何だか自分の子どもの頃を思い出して温かい気持ちになれるし、父としても参考になる。