Lectio

春の薔薇 (ばら)、夏の果実のごとく

-時というものはいわばすべて生起するものより成る河であり奔流である。

あるものの姿が見えるかと思うとたちまち運び去られ、他のものが通って行くかと思うとそれもまた持ち去られてしまう-

マルクス・アウレーリウス 『自省録』

Lectio

錬金術師

‪もちろんプロとしてその世界で生きていくことの厳しさは想像できるけれど、

「色を調合する」ってなんだか素敵な仕事だなと思う。

LectioLiving

スケッチ・ブック

-この白い紙の上にはいろいろなものが書きこまれる。

山や樹木や農家の写生もあるし、

途中で思いついた毛鉤のアイディアもある-

芦沢一洋 『アーバン・アウトドア・ライフ』

なるほどスケッチブックね、と思いながら、別に形式にこだわる必要もないかもしれないなと思った。

散歩のときに、子供に「好きに描いていいよ」と大きめの手帳 (家にあった) とクレヨンを持たせた。

いま目の前にある桜よりも、そこに描かれたカラフルな何かの方が好きだなと思った。

少なくとも、ベンチに座って何色を使おうかと考えてる息子の顔は、いつかまた思い出すことになるだろうなと思った。

GastronomieLectio

福が郎党を成す

‪-青森は日本海、太平洋、津軽海峡、陸奥湾と四つの海を持ち、

東西の外洋は回遊魚が来て、

間の海峡は身を引き締め、

内湾は魚介を育てる-

太田和彦 『酒と人生の一人作法』

忙しない日常のなかでマクロなことはつい忘れがちになるけれど、この山がちな国土で1億2千万人もの大人口を養うというのは色々な均衡のもとで成り立っているんだということをときどき思い出す。

この国はそれなりに「大きな島」ではあっても、土からの収穫物だけではとても今の暮らしは成り立たない。

四方を囲む豊穣な海が我々を食べさせてくれていることを忘れてはいけない。

Living

大震災の夜に

9年、というのはとても長い歳月のはずだけれど、あの震災の日のことは忘れていない。

あのとき誰が何を言って、自分がどう行動して何を想ったのか、今でも鮮明に覚えている。

東京の職場にいた僕たちは、同僚の男数名で声を掛け合って女子を自宅へ順番に送り届けながら、おそらくは生涯で一番長い道のりを、色々なことを考えながら歩いた。

道すがら大勢の人が集まった店先のテレビを覗くと、そこにはたったいま東北地方で起きている目を覆うような自然災害の様子がありありと映し出されていた。

家に帰ってからも、不安な夜が明けてまた朝を迎えてからも、各地の甚大な被害を伝える映像は続々と寄せられていた。

僕たちの目の前にある現実の世界は、ある日突然ガラリと音をたてて崩れることがあるし、それはもちろん自分にも、大切な誰かにも、いつでも起こり得ることなのだということを考えずにはいられなかった。

そういう世界を、残りの時間、誰と、どういう風に過ごして生きていきたいかということを考えずにはいられなかった。